2018/04/28
数学の重要事項である「微分積分学」を愉しみながら、理解していきます。ここで鍛えられる思考力、記述力は大学入学後および卒業後の人生にも役立つと考えています。大いに利用してください。
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数多くの個体が役割分担しながら集団生活を送るアリの世界。互いに協力しあって仲良く暮らしているイメージが強いが、実際は相互に監視しあい、役割に反する行動を取った裏切り者を厳しく罰する監視社会なのだという。
アリの社会における「取り締まり」は、個体数が少ない未成熟な集団ほど厳しいことが、関西学院大などの研究で分かってきた。集団が小さいほど、勝手な行動が全体に与える影響が大きくなるためらしい。
■おきて破りには制裁
アリ科の多くは、女王アリが雄と交尾して働きアリを産む。働きアリは全て雌で卵巣を持ち、交尾を必要としない単為生殖で雄を産むことができるが、産卵を担当するのは女王アリだけだ。
働きアリの任務は幼虫を育てたり、餌を捕ったりする繁殖以外の仕事だ。女王アリが発するにおいの影響で、体が産卵できない状態に変わるとみられている。
ところが、こうした役割分担にもかかわらず産卵してしまう働きアリもいる。働きアリ同士は互いに行動を監視していて、こうしたおきて破りの裏切り者を見つけると、集団で襲いかかって産卵を妨害したり、卵を奪って食べ破壊したりしてしまうという。このような行動を取る理由は、よく分かっていなかった。
そこで研究チームは、沖縄県に生息する体長約1センチの大型アリ「トゲオオハリアリ」の約20集団に、卵巣を人工的に肥大させて卵を産める状態にした働きアリや、働きアリが産んだ卵を入れて、どんな行動が起きるか観察した。
その結果、産卵の阻止や卵の破壊などの行動は起きたが、集団の大きさで差が出ることが分かった。働きアリの数が100匹未満で比較的若い集団の場合、ほとんどの卵が壊されたが、200匹以上いる成熟した集団では、壊されたのは約20%にとどまった。
■集団の規模で変化
初期段階の集団では、働きアリを増やすことによって女王アリが産む幼虫を育てる能力を充実させたり、餌の供給力を向上させたりすることが一番大切だ。働きアリが産卵してしまうと、そこから生まれる幼虫を育てることに労力を奪われ、餌を捕る力が低下する。また、働きアリが産む雄は女王アリと交尾して幼虫を増やすことはできるが、餌を捕るなどの労働力にはならないため、この段階の集団には不利益な存在になるとみられる。
一方、数が増えて成熟した集団は、世代交代して次世代の集団を築くことが視野に入ってくる。そのため次世代の女王アリと交尾して子孫を増やすための雄が必要になってくるらしい。集団の利益は、集団の規模によって変化することが背景にある。
これらの結果から研究チームは、働きアリは自分が属する集団の大きさをきちんと把握しているとみられ、産卵の相互監視行動は初期段階の集団ほど強化されると結論づけた。
下地博之助教は「アリ社会の相互監視行動が、どんな背景で獲得されたのかが確認された。今後は社会の大きさに応じた行動の変化を、さらに詳しく調べていきたい」と話している。